猫は否定的な生き物なのか

猫ブーム、らしい。
駅長が猫になってしまう*1くらい、猫原理主義者が増えているのだという。ふーん、そうなのか。と独り言を言う当方も、家で猫を一匹養っており、これがたいそうかわいい。普段はこちらからちょっかいを出しても迷惑そうな顔をするのに、忙しいときに限って体を摺り寄せて甘えてくるので、ついつい「おお、よしよし。かわいいのう」などとこれまた独り言をつぶやきながら相手をしてしまう。当世風に言うならば、ツンデレ、小悪魔アゲハの猫。じつにかわいいと思う。

そんな猫だけれど、どうも昔は否定的な生き物だったようだ。猫のつく熟語などを広辞苑で調べてみると

  • 猫背…背がやや前方に屈み、背が丸くなっていること。また、そういう人
  • 猫舌…熱いものを飲み食いすることのできないこと。また、そういう人。
  • 猫被り…本性を包み隠して、おとなしそうに見せかけること。また、そういう人。
  • 猫面…猫の顔に似て短い顔の人を卑しめていう語。
  • 猫に鰹節…好物を近くに置いては油断のならないことのたとえ。
  • 猫に小判…貴重なものを与えても何の反応も無いことのたとえ。転じて、価値のあるものでも持つ人によって何の役にも立たないこと。
  • 猫の額…(猫の額た狭いところから)土地などがきわめて狭いことの形容語。
  • ねこばば(猫糞)…(猫が脱糞後、脚で土砂をかけて猫を隠すからいう)悪行を隠して知らん顔をすること。落し物などを拾って、そのまま自分のものにしてしまうこと。
  • 猫またぎ…(魚の好きな猫でさえもまたいで通り越すという意で)まずい魚をいう。
  • 猫も杓子も…どんな人も。誰も彼も。どいつもこいつも。

また、≪故事・ことわざ・四字熟語≫http://thu.sakura.ne.jp/others/proverb/によると

  • 猫の手も借りたい…猫の手助けでもいいと思うほどに忙しいこと。猫は手近にいる動物で、役に立たないものの代表として言う。
  • 猫は三年の恩を三日で忘れる…猫が人の恩を知らない動物であることを言う。

ほかにも、ことわざデータバンクhttp://www.sanabo.com/kotowaza/では、

  • 猫を殺せば七代祟る…猫は執念深いので、殺すと子孫七代までたたりがあるという俗説。
  • 猫の魚辞退…長続きしないというたとえ。

などなど、猫にまつわる語には、どうにもネガティブな言葉が多い。佐賀鍋島の化け猫や猫又に代表されるように、昔は猫はあまり歓迎された生き物ではなかったのではないかと推測できる。
さて、猫ブームである。そろそろ猫を称える語が登場してくるころではないかと思う。新たな猫称え語を考え出してみようか。

  • 猫大好きフリスキー…猫を愛していたフリスキーさん(1901〜1988)が、猫に好かれたいがためにオリジナルのキャットフードを開発したところ世界中で大ヒット。最終的に猫がきっかけで億万長者になったフィクションから、猫を愛すると最終的には幸せになるという意。
  • 猫が寝込んだ…明治時代に活躍した大道芸人、ファンキー・吉田が売れない下積み時代に、飼っていた猫が寝込んだところを見て思いついたギャグ。このギャグをきっかけにファンキー・吉田は大ブレイクしたフィクションから、日本でもアメリカンドリームが可能であるという意。
  • 猫娘…ある種の性癖をもった人からは絶大な人気を誇る女性をさす語。

どれも浸透させるには難しそうだ。とりあえず、今現在猫を称える語として一番人気なのは「ぬこ」になるのかな。


追記
そういえば招き猫っていう猫称え語がありましたね。