大正区の気分

大阪市に、大正区というところがあって、わりあいその地域が好きである。
いわゆる下町であり、大阪港に面している地域であるから、工場や、港湾施設などが多い。だからといって、生活感が無いわけではなく、比較的大きな団地があったり、銭湯や商店街など、下町風情漂う町でもある。

その町の、何が好きか、はっきりと答えられないのだが、工場や港湾施設といった非日常と、団地や下町という、日常が上手い具合に混ざり合った感じが、好きなのかもしれない。
鶴町行きのバスを降りると、大型船舶を通す為に作られた、背の高い橋や、赤いガントリークレーンが、団地の隙間から見える。
コンビニでお茶を買い、渡船に乗る。自転車に乗った老人について下船すると、中山製鋼の煙突からは今日も炎が上がっている。

初夏の青空の下、幅の広い、まっすぐな道路を市バスが走って行く。
潮風がふっと吹き抜けて行き、ほんの数秒、静寂が訪れる。

そんな感覚がたまらなく好きであり、よく大正を散歩していた学生時代を思い出す。
今日、たまさかYUKIのCosmic boxという曲を聞いたが、イントロ部分を聞いて、なぜか大正の情景を思い出したので、こんな文章を書いてしまった次第である。

この曲のイントロは、自分の中の大正区の気分に、とても合っていて、心地良い。

今度帰省するときには、久しぶりに大正を散歩に行こうと思う。